1990年代の日本は、バブル経済崩壊後の混沌とした時代でしたが、そんな中でもマクドナルドは独自の進化を遂げ、数々の魅力的なメニューを誕生させました。
ベーコンポテトパイやチキンタツタ、月見バーガーといった商品は今でも多くの人々の記憶に残っています。
特にこの時期は、季節限定や地域限定の開発が活発に行われ、試行錯誤の中から数々の名作が誕生しました。
当時のメニューは単なるハンバーガーという枠にとどまらず、和風テイストやライスメニューなど、多様な味覚ニーズに応えるものでした。
今回は、そんな90年代マクドナルドの代表的なメニューについて紹介していきます。
90年代マクドナルドの代表的なメニュー紹介

90年代には、現在でも語り継がれるメニューが次々と登場しました。
定番化した商品や意外な組み合わせに注目です。
ベーコンポテトパイ(1990年)
1990年に登場したベーコンポテトパイは、今なお根強い人気を誇るロングセラー商品です。
サクサクのパイ生地に包まれたポテトとベーコンの組み合わせは、食感と旨味のバランスが絶妙です。
発売当初はレギュラーメニューとして親しまれていましたが、現在では期間限定で復活するたびに話題となります。
その復活を望む声はSNSでも多く見られます。
懐かしさと安定した味わいが、世代を超えて愛され続ける理由といえるでしょう。
チキンタツタ(1991年)
チキンタツタは1991年に登場し、そのふわふわのバンズと生姜の風味が効いた鶏肉で一躍人気メニューとなりました。
ふんわりしたバンズの食感と、タツタ揚げされた鶏肉のジューシーさが特徴です。
シャキシャキのキャベツとクリーミーなソースが全体をまとめ上げ、完成度の高い一品となっています。
現在は不定期に期間限定で復活していますが、かつてのレギュラーメニューに戻してほしいという声も根強く存在します。
月見バーガー(1991年)
秋の定番商品として親しまれている月見バーガーは、1991年に発売されました。
卵を使ったハンバーガーとしては画期的な存在で、毎年秋になると登場するのを待ちわびるファンが多くいます。
特製のオーロラソースとベーコンの塩気が、半熟風のたまごと絶妙にマッチしています。
毎年、趣向を凝らした月見シリーズが発表されることで、食べる楽しみが広がっています。
日本の季節感を取り入れた商品としても評価されています。
マックチャオ(1991年)
マクドナルド初のライスメニューとして話題になったのが、1991年発売のマックチャオです。
山田邦子さんの出演するCMでも注目を集めました。
炒飯とシュウマイを組み合わせたメニューで、2段式の専用容器を使用していたのが特徴です。
午後5時からの限定販売という時間帯の工夫もありましたが、価格が高めだったことから販売は短期間にとどまりました。
それでも「ごはんバーガー」の先駆けとして記憶されています。
グラタンコロッケバーガー(1993年)
グラタンコロッケバーガーは1993年に登場し、冬の定番商品として知られる“グラコロ”の元祖です。
ホワイトソースとマカロニが入ったグラタンコロッケをバンズで挟んだ構成で、優しい味わいが特徴です。
当初は柔らかい食感が好みを分けましたが、改良を重ねるごとにファンを増やし、今では毎冬の風物詩となっています。
商品名も含め、親しみやすさが世代を超えて受け入れられています。
てりたまバーガー(1996年)
1996年に発売されたてりたまバーガーは、春限定メニューとして定番化しました。
ポークパティに照り焼きソースを絡め、たまごと合わせるという和風テイストの強い組み合わせが特徴です。
月見バーガーと似た構成ながら、味の方向性はまったく異なります。
濃厚なソースと卵の組み合わせが絶妙で、春らしさを感じさせる一品となっています。
毎年春の到来とともに登場し、季節感と共に楽しめる点も人気の理由です。
かるびマック(1998年)
1998年に登場したかるびマックは、肉をダブルで使用するという斬新なアイデアで注目されました。
ビーフパティの上に牛カルビを重ねる構成は、肉好きにとっては夢のような一品です。
焼肉のタレ風のソースが加わることで、ご飯が欲しくなるような味わいも魅力でした。
レギュラーメニューには定着しなかったものの、何度も復活を果たしており、再販されるたびに話題になります。
肉料理とハンバーガーの融合として高い評価を得ています。
幻のメニューや挑戦メニューも多数登場

90年代は挑戦的な商品が次々と登場した時代でもありました。
ここでは、当時話題を呼んだ幻のメニューを紹介します。
フレッシュマック
1990年代に販売されたフレッシュマックは、マクドナルドの中でも異色の存在でした。
シャキシャキのレタスやトマト、オニオン、ハムを胚芽バンズでサンドした一品で、野菜を多く取り入れた健康志向のバーガーとして注目されました。
マヨネーズのまろやかさが全体をまとめ上げ、サンドイッチに近い味わいが特徴です。
朝マックにも適したメニュー構成で、今なお復活を望む声が聞かれます。
ほたてマック
ほたてマックは、貝の形を模したバンズにホタテのフライ、ベーコン、レタスを挟んだ商品です。
1990年代当時、CMに陣内孝則さんを起用したことで話題を集めました。
バンズのユニークな形状と、海鮮系バーガーという斬新なジャンルが注目されました。
現在のフィレオフィッシュとは異なる方向性で、素材の個性を活かした一品です。
特に北海道地域の消費者から支持を受けたとの声もあります。
カレーバーガー & カレーチーズバーガー
スパイシーなカレーソースを使用したカレーバーガーと、さらにチーズを加えたカレーチーズバーガーは、1990年代に登場した異色の一品です。
カレーの香りとパティの旨味が合わさり、和風と洋風の融合を試みた意欲的なメニューでした。
カレー味のバーガーはその後もご当地メニューとして派生が続き、現在のラインアップにも影響を与えています。
味の記憶が強く残ることから、復活を望む声が根強いです。
マックイタリアーノ(1998年)
マックイタリアーノは、1998年に期間限定で販売されたダブルバーガーです。
ビーフパティ2枚にチーズ、ベーコン、刻みオニオンを挟み、ピリ辛のピザ風ソースで味付けされた一風変わったバーガーでした。
その濃厚で刺激的な味は、従来のマクドナルド商品と一線を画しており、多くのユーザーの記憶に残る存在です。
販売期間が短かったこともあり“幻の名作”として語り継がれています。
ホームメイドマック
ホームメイドマックは「お母さんのハンバーグ」を再現するコンセプトで開発されました。
日本食糧新聞でも取り上げられた通り、フライパンで焼いたようなジューシーなパティが特徴で、一般的なマクドナルド商品とは異なる家庭的な温かさを感じる商品でした。
キャンペーンではハインツとコラボした取り組みも行われ、話題を呼びました。
期間限定でしたが、そのコンセプトは今も新鮮に映ります。
マック牛鍋パン
マック牛鍋パンは、卵の上にすき焼き風味の牛肉と野菜を乗せたバーガーです。
ネーミングの通り、和風のすき焼きとパンの意外な組み合わせにチャレンジした商品でした。
濃厚な甘辛ソースと柔らかい牛肉がバンズと相性が良く、冬季の販売に向いた温かみのある味わいが特徴です。
当時は珍しかった和風ハンバーガーの先駆け的存在として、現在の「ごはんバーガー」シリーズにも通じる要素があります。
たまごダブルマック(1998年)
1998年に登場したたまごダブルマックは、ビーフパティ2枚にたまごとスパイシーなソースを加えたボリューム重視のバーガーです。
2019年には「ニコタマ」という名で復活を果たしたことで話題になりました。
肉の旨味とたまごのまろやかさ、ソースのピリ辛感が一体となった構成は満足度が高いとの評価があります。
ボリューミーながら味のバランスが取れており、男性客を中心に人気を集めました。
ポテピリバーガー
ポテピリバーガーは、マッシュポテトに黒胡椒を利かせたソースを合わせ、ビーフパティと組み合わせたユニークな商品です。
140円というリーズナブルな価格設定も話題となりました。
ポテトのまろやかさとピリ辛のアクセントが絶妙で、濃厚な味わいを好む層に支持されました。
2011年のgooランキング「復活してほしいメニュー」にもランクインし、記憶に残る一品として今なお名が挙がるメニューです。
チキンカツバーガー
チキンカツバーガーは、サクサクのチキンカツとシャキシャキのレタスを組み合わせたシンプルながら完成度の高い商品です。
衣の香ばしさとレタスの食感の対比が心地よく、さっぱりとしたマヨネーズ系ソースが全体の味を引き締めます。
2000年代初頭にも類似商品が出ていますが、90年代のチキンカツバーガーは原点とも言える存在です。
幅広い年齢層に好まれ、復活が望まれるメニューの一つです。
ハッピーセットの原点は「お子様セット」
マクドナルドの子ども向けメニューは、もともと「お子様セット」という名称で親しまれていました。
1995年から現在の「ハッピーセット」に改称され、おもちゃのラインナップや販促戦略も大きく変化しました。
名称変更によってブランドイメージが刷新され、よりポジティブで親しみやすい印象を与えるようになったのです。
ハッピーセット最大の特徴は、おもちゃの進化にあります。
90年代初頭はマクドナルド独自のキャラクターが中心でしたが、名称変更以降はディズニーやサンリオなど外部キャラクターとのタイアップが本格化しました。
これにより、ファン層が一気に拡大し、家族連れの集客力が飛躍的に向上しました。
テレビアニメや映画との連動企画も数多く展開され、キッズマーケティングの成功事例として今も語られています。
90年代マクドナルドの魅力とは?
90年代に登場した多彩なメニューや戦略は、現在のマクドナルドの基盤を作り上げた重要な要素です。
今でも語り継がれる理由
90年代のマクドナルドは、商品の質と価格のバランスに優れた時代でした。
レギュラーメニューから期間限定品まで、どれも高い完成度を誇っていたことが特徴です。
ポテピリバーガーのように140円という低価格で提供される商品もあり、手軽に外食が楽しめるファストフードの代表格となりました。
また、ライスメニューや和風テイストなど、失敗を恐れない挑戦が多かったことも魅力の一つです。
企業の柔軟な開発姿勢が、顧客の好奇心を刺激していました。
現代に復活してほしいメニュー
現代でも多くのファンが復活を望む90年代メニューは数多く存在します。
特にチキンタツタやベーコンポテトパイ、グラタンコロッケバーガーは、SNSや口コミサイトでも定期的に話題に上がる存在です。
また、マックイタリアーノやポテピリバーガーなど、短命に終わった幻のメニューにも根強いファンが存在します。
復活を望む声は、過去の商品に対する思い出や nostalgia が強く影響しています。
期間限定でもいいから、もう一度味わいたいという感情は、マクドナルドの歴史を支える重要な原動力といえるでしょう。
まとめ
1990年代のマクドナルドは、挑戦と革新に満ちた時代でした。
チキンタツタや月見バーガーなどの現在も続く定番メニューから、マックチャオやほたてマックのような幻の一品まで、さまざまな試行錯誤が実を結んだ時代だったといえます。
ハッピーセットの登場や価格戦略も含めて、当時の取り組みは現在のマクドナルドの成長に大きく貢献しています。